岡村正日商会頭は15日の会見で政府が検討中の
高齢者雇用の義務付けについて「小人数で仕事をしている
中小企業は60歳以上の方に向いた仕事を見つけるのが
大変難しい」と述べ「柔軟に対応するべき問題であり、
義務化の必要はない」との考えを示した。
義務化は若年雇用に影響を与えるだけでなく
「建設業や運輸業など高齢者が働くには肉体的、
精神的に厳しい職種もある」としている。
厚生年金の支給開始年齢引き上げで加入者の無収入期間が
生じることについては「これから発展する環境エネルギーや
介護など働き口のある分野への労働移動ができるよう
職業教育も含め社会全体の問題として考えるべきだ」と語った。
巨額の損失隠しが発覚したオリンパスが上場維持となったこと
には「コンプライアンスはシステムや制度だけではうまくいかず、
個人の意識がきちんとして初めて機能する」と指摘。
「経営者自らが改革にあたることだ」とした。
<再雇用義務化>年金支給開始との切れ目を防ぐ目的
年金の65歳支給開始は、再来年4月に迫っている。
希望者全員が65歳まで働けるようにならないと、
老後に路頭に迷う人が続出しかねない。
厚生労働省が高年齢者雇用安定法の改正に乗り出す背景には、
そうした切羽詰まった事情がある。
年金の支給開始年齢を65歳に遅らせたことに対応し、
厚労省は06年、65歳までの就労を可能にするため、
企業に(1)定年年齢の引き上げ(2)継続雇用制度の導入
(3)定年制廃止--のいずれかの採用を義務づけた。
しかし、厚労省の調査では希望通り65歳まで働ける企業は、
今年6月時点で全体の47.9%。大企業は23.8%に過ぎない。
その要因は、80%以上の企業が選んだ(2)の継続雇用制度に
設けられた「抜け穴」だ。
同制度は労使の合意があれば、再雇用する人の基準を設定できる。
この規定を使い、「働く意欲がある」「勤務態度がよい」など、
あいまいな基準を設け、一部の人しか再雇用しない企業も多い。
厚労省の有識者会議は6月、この基準について「弊害が多い」として、
撤廃を求めた。
厚労省は中長期の課題として、年金の支給開始年齢を
68~70歳へと遅らせることも検討しており、
まずはこの基準を撤廃して65歳までの雇用を確保する
必要があると判断した。
それでも経団連は「自律的な労使関係を否定することに
つながりかねない」と批判している。
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